中途半端な灰色Ж 2009/03/07 (Sat)

黒や灰色には見えない。

白だったら、見えるかもしれない。

白は、白の中の白を見ることができるでしょう？

それとも、頑張って考えてみたら見えるかもしれない。




――――･････。



　　ある黒は、黒の居場所から離れる事になった。

黒は、ずっと黒だったけど本当は白に憧れてた。

白いところに来た。だから、白になろうと思った。

でも、そんなすぐにはなれなくて

序々に白が混ざって灰色になった。

綺麗な灰色でもなくて、

マーブル状の、中途半端な灰色。

時には、黒に戻りたくもなったけど

でも、少しずつ白に近づいていった。

このままいけば、もしかしたら･･･

って思ってた。

　　白達は、やっぱり想像してたような白だった。

白は白と輪を作っていった。

中途半端な灰色は

なんとか一つの白と輪になった。

最初は嬉しかった、

白達に会えた事に。

白達と過ごす事に。

それだけで、幸せだった。

尊敬したし、そんな白達が大きく見えた。

　　ある日、ふと中途半端な灰色は

自分を見てみた。

白になりたいけど、なりきれずに

中途半端な灰色・・・

自分は綺麗じゃない。

自分はなんて汚れているのだろう。

白達を同じところにいるのを、恥ずかしく思った。

　　それから、白達を見ていて

今まで素直に嬉しかったことや

尊敬していたことを見ると、

自分はできない･･･

自分はあんなに綺麗な白になれない・・・

そう思うと、悲しくなり、息苦しくなった。

自分はここにいて、いいんだろうか・・・

中途半端な灰色は、思った。

それに、ずいぶん経つのに

まだ一つの白としか、輪を作れていなかった。

もしかしたら、自分は

白に向いていないのかもしれない。

自分は、やっぱり黒で

あるべきなのかと悩んだ。

でも黒は嫌いだ。白が好きなんだ。

自分は白になりたいんだ･･･

白と一緒にいたいんだ・・・

　　でも、そんな気持ちとは裏腹に

どんどん白達と距離が離れていく。

白達は、いつのまにか大きな輪を作っていた。

中途半端な灰色は

その中には入っていなかった。

入ろうと思った、何度も。

でも、上手く馴染む事ができなかった。

中途半端な灰色は思った。

やっぱりこんな中途半端な灰色は

白と輪を作ることなんてできないんだ・・・

　　毎日大きな白達の輪を見る。

悲しい、苦しい・・・

白達の会話を聞いてるのはとても楽しい。

聞いてるのは楽しい・・・

大きな輪の白の一つが

輪の近くに連れて行ってくれることがあった。

輪の中はいつもと変わらなかった。

楽しい会話。

なのに、その場にいることが

とても息苦しく思えた。落ち着かない。

･･･逃げ出したい。

どうして？

ずっと憧れてた場所。

嬉しいはずなのに。

ずっと望んでいた光景を見て

逃げ出したくなってる自分がいた。

聞いてる時は、あんなに楽しくて

居心地がよかったのに。

近くにいることがしんどい･･･

近くにいれない。

入るなんて事、できるわけない。

憧れは･･･憧れであって

現実にすることはできないの・・・？

中途半端な灰色は、どうしようもない

悲しみに押し潰されて、泣いた。

そりゃそうだ、中途半端な灰色だもの。

灰色は白とは違うんだもの。

自分は白になれなかった。

この灰色の状態でも、

すでに大変だったんだ、

やっぱり自分は黒なんだ、と。

中途半端な灰色はそう思って、泣いた。

　　白の中にいるのが、辛い。

いっその事、白の事を嫌いになれたらいいのに。

そしたら、こんな思いしなくて済むのに。

でも、嫌いになれなかった。

白は、自分の理想そのものだったから。

　　せっかく白くなりかけていた

中途半端な灰色は、日が経つごとに

少しずつ、また黒くなってきた。

でも、完璧に黒になりきれずに止まった。

いつの間にか、中途半端な灰色は

真っ黒になる方法を、忘れてしまっていた。

自分は白になる事も、黒になる事もできない。

中途半端･･･

周りに馴染めなくて、一つであれば

はっきりとした自分もない。

何を取っても、自分が頭を抱える事ばかり

頭に浮かぶ。

　　どうしたらいいの･･･

中途半端な灰色は問いかけた。

何に問いかけているのか分からない。

問いかけたところで返事が返ってくるわけでもない。

　　白達を見た。

相変わらず、白達は

中途半端な灰色が思う白達だった。

白達と会えるのも、後少しだね。

そう思うと、涙がこみ上げてくる。

この涙は、何を思ってでてきた涙なんだろう。

離れるのは寂しいから？

もっと一緒にいたいから？

まだ、後少し会わないといけないから？

どれも、首を縦にも横にも振れなかった・・・

　　中途半端な灰色は、ふとある白の事が

頭に浮かんだ。

離れるのが嫌だと思った。

でも、一緒にいることもできないとも思った。

白には、感謝の気持ちでいっぱいだ。

少しの間だけだったけど

自分に小さな幸せと楽しみをくれた。

本当に、感謝してもしきれない。

ありがとう。。。

　　中途半端な灰色は、思った。

中途半端になるぐらいなら

いっそ消えちゃえばいいのに。

そしたら、何色にも気をつかわせずに済むのに･･･



――――･････。